日々是憂日

日々是好日ー人生は好い日ばかりがつづいているかな?をちょっと逆転してみると見えてくる日々のことを綴る

読書

湊かなえ「望郷」

湊かなえ「望郷」を 読みました。 ご高齢の女性が この本はどうしても定着しません と 言われましたが、 土地勘がばっちりある私としては 興味のある短編ばかり。 そして なんだか作者が本当に 学校時代いじめに遭ってたのではないか と思えるほど テーマは…

濹東綺譚探索

永井荷風ーー 文壇のアウトサイダー その小説「濹東綺譚」の 舞台に行ってきました。 ある小説を読んで その舞台になった場所に ともかく行ってみたいと 思わせるものには なかなか出会えないのですが 「濹東」は是非とも というわけで 作家同様 まるでさす…

ある読書体験

新幹線の中で気楽に読もうか と 佐藤愛子の「私の遺書」というのを 100円で買って 読み始めました・・・ 東京を出て名古屋に着く頃には もう気持ち悪くなって 捨てるつもりで 座席の前の網?に入れたままにしておいて 新大阪で降りようとしたら 隣にいたおば…

堀辰雄はーー

知人が読書会なるものをやっていて 面白いことを 教えてくれました。 堀辰雄「風立ちぬ」を読みあったとき 一人のご老女が 読後感としてこんなことをーー この人は生い立ちからして そんなにお金持ちではないと思うのに 軽井沢だのにばかり行って 長く滞在し…

司馬遼太郎さんが・・・

作家の訃報を聞いて涙したのは 司馬遼太郎さんと藤沢周平さん でございました。 その司馬さんは チャイナの西方つまり 新疆ウイグルなどの シルクロードの民に 愛着を持っていらして そこを探訪されたときに すでにもう 漢族の支配の熾烈さを知って 危惧の言…

プルースト

マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」 という大部な著作を 全巻読み通した人 います??? 老婆は最初の一ページでダウンでした。 こんなものが日本で翻訳され 売られていて 多くの人が読んだ? ということは 日本の読書人たちのレベルのいかに高いか …

日清戦争

浅田次郎「蒼穹の昴」を読むと 日清戦争とはなんであったか が よくわかります。 つまり阿片を強要したり 砲艦を並べて領土をもぎ取ろうとする 西欧列国と同様のことを 日本もしたというわけで しかもこの時 「清」という国と戦ったのではなく 袁世凱の私軍…

今も同じ

「肥前の妖怪」(司馬遼太郎)という短編のなかで 鍋島閑叟は「東洋一の洋式要塞」を作らねば と考えていた。 今時「葉隠」なんぞと言っている場合か、 というなんとも進歩的な藩主だった。 その鍋島閑叟が自費で長崎に砲台をいくつも作りたい と幕府に申しで…

後醍醐天皇

伊沢元彦を再読しております。 後醍醐天皇には「忠臣」を思いやる心がなかったと。 楠木正成や新田義貞を見捨てていますからね。 それよりも何よりも 日本の「朝廷」は「軍隊」を持っていなかったし 持とうとも思っていなかった、ということが なるほどと・…

聖徳太子

夏の徒然に 昔読んだ本をあれこれ・・・ していると 伊沢元彦著 「逆説の日本史」がぽろっと出てきた 「聖徳太子」の編です。 聖徳太子はなぜ「聖徳」なのかを解き明かしてゆく とても意味深の本で 愛読していたものです。 が 一度読んで面白かったというだ…

ある英会話の授業

小学校に英語が必修とは ちょっと驚きましたが それはともかく、ある日 ネイティブの英語の先生の授業を 参観できまして 行きました。そしたら クラス担任の先生がずっと付いているんですね。 そしていろいろ世話をやく・・・ だれそれさんを当てる、次はだ…

しろばんば

井上靖「しろばんば」を読み終えたあとの 正直な感想はと言えば 「喪失感」でしたね。 あの時代。 子供が子供の世界だけで生きてゆくことのできた あの時代への喪失感。 大人は大人であり、子供は子供そのもので ありえた時代。 無茶なと思える子供の世界に…

楽隠居ーー

水上勉の「凩」を読んでいたら 娘が実家の家を売ってほしいそのいいわけに 「父ちゃんも働きに働いてきたから この際、アパートに来てひとりでのんびりして」 というような意味のことをしきりに言う わけですね。自分たちは新居に移る。 今まで畑や山を見て…

新聞記事は・・・

井上靖「あすなろ物語」では 新聞記者の時代の話もある。 そのなかで目を引いたのが 「敗戦の日の記事」ーー それまでは「撃ちてしやまん」などの 国民を鼓舞するためのイデオロギーなくしては 書けなかったものが この敗戦の日の記事は 記者として真実、ほ…

最後の読書

ひとは人生の最終期にどんな本を読むのでしょうか。 と ふと思いました。 知り合いのある大学教授は 厚さ5センチもあるようなすごい研究書を 出された学者でしたが 最晩年、施設ではずっと 池波の本を読み続けていました。 そして老婆の私も 若い時はかなり…

小説の舞台

ある小説を読んで、その舞台となったところへ ぜひとも行ってみたい、と思わせる小説が 魅力的な小説ではないかと思ったのは 例えば「泥の河」もそうですし「家守綺譚」なども。 だから私にはそういう魅力が感じられない小説は あまり興味が湧かない、と思っ…

辿りたい

ある本を読むと そこに行ってみたくなるようなのが いくつもありますよね。 私の中ではトップは 「墨東奇譚」(ぼくの字はさんずいがある) 「夜明け前」そして「白秋詩集」 藤沢周平の下町もの などなど・・・ でもねぇ 玉の井あたりはまだしも 馬籠はすっか…

女を育てる ?

立原正秋という作家の名前は 知ってはいましたが まったく読んだこともなかったのです、 たまたまBookoffで100円だったので 買ってみて 読みました、「名残の雪」・・・・ へぇ、こんな作家だったの・・・ 梅を褒めに行く、なんて表現は 優雅だし いっぱいお…

帰郷

浅田次郎「帰郷」は 日本人がなるたけ見たくないものを ひん剥いてしまった作品・・・ 戦友の肉を喰らうまでに ならざるを得なかった無謀な戦争。 それも日本が好んで始めたわけでもなかった のに 何万の無駄死に、餓え死に、自害・・・ これらの死に何か意…

就眠前読書

特に女性に多いかも・・・ 寝る前の布団のなかで 本を読むって。 一日の終わりの儀式みたいに 必ず本を読む女性は 案外多いのではないかしら。 これがないと一日が締めくくれないみたいに 感じます。 そして今 老婆には これぞという本が見つからず 困ってい…

遊ぶ子供のー

小川洋子氏と河合隼雄氏の 対談集を読んだら 「子供」がどんなに奇跡的な 癒しの存在であるかという 意味のことが語られていて 「ルートくん」とか ーーこれはあの「博士の愛した~」を 読んだ方にはわかりますーー ほんとに老婆は同感で 表で子供の遊ぶ声が…

本から学ぶ(2)

再び井沢元彦「逆説の日本史・中世混沌編」 です。 {政治家にとって最も大切な仕事はなんだろうか?国民が安心して活動できるような 土台を作ること。それを行うに際して最も重要な心構えは「決断すること」なのである。 政治家とは「決断する職業」である(略…

ある本から学ぶ

井沢元彦「逆説の日本史」からは 学ぶことが多いので 今日は次の文を引用してみます。 _________________ いかに政治的に条件が整ったとしても 国民レベルで「乱」が好まれない限り、 それは起こらない。(略) これだけ日本の政治・経済・社会のシステムが ボ…

やっぱり藤沢周平

たまたま手元にあったので 三度読みの藤沢周平。 最初は「回天の門」 これは郷里の人「清河三郎」のこと。 次は「霧の果て」 これは娯楽性の高い推理小説もの。 藤沢周平、幅が広い。 「娯楽性」と言ったけれど 格調高い。 ちょっとした女の仕草や 男女のこ…

残酷な命

柳澤桂子「認められぬ病」は 病臥する多くの人にとって 希望と慰めの書だと思います。 あれほどの絶望的な状況にあって 氏はなおも「希望」を捨てずに 生きる意志を持つことができました。 また氏はこうも言います 若くして死ぬ命は残酷である が 残酷を最後…

「草の花」

福永武彦「草の花」を 改めて読んだけれど 昭和前期のあの凝縮された 知性の文章に触れると この頃のややこしい文章が 軽薄でなんとも色あせて見える と言えるほどには読んじゃいないけど はなっから読む気が起こらないのは なぜでしょうか。 「草の花」では…

平和憲法

ケント・ギルバート「米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体」 のなかで これじゃね、と思った言葉 「平和憲法というのはアメリカの平和のための憲法」 そうでしょ、そうでしょ、 老婆は以前からずっとそうだろうと 思ってたんですよ。 そして憲法九条…

孫文とフィリピン

井沢元彦「友情無限」のなかで 梅屋庄吉が孫文の無二の友となり 独立運動を経済面で援助し続ける この秘話を今の中国人が知ったら・・・ テレビドラマで年中 日本兵を生きたまま八つ裂きにしたり なとどいうものを見せられている 中国の人がこの本を読んだら…

読書

知人の93歳の女性がいて その人の読書力といったら すごいのです!! 文章は美しく青春の香りを 色濃く残しているのです 反対に私は 今のところ 「夢中になれる」ものがなくて 虚しい感じがしています。 司馬遼太郎、藤沢周平、宮城谷昌光 宮本常一、永井路子…

赤い月

なかにし礼「赤い月」を読んだ 1日じゅう泣いた日 前作の自伝に肉付けされたもの と言ってしまうのは簡単だけれど なんという小説 というより なんというドキュメントだ! 母をモデルにしていながら 「女」を描いたと 言ってしまうのは簡単だけれど 「満州」…