やっぱり藤沢周平
たまたま手元にあったので
三度読みの藤沢周平。
最初は「回天の門」
これは郷里の人「清河三郎」のこと。
次は「霧の果て」
これは娯楽性の高い推理小説もの。
藤沢周平、幅が広い。
「娯楽性」と言ったけれど
格調高い。
ちょっとした女の仕草や
男女のことでも
藤沢の手にかかると
生臭い匂いがしない。
女は女でありつつきりっとしている。
人物像が映画を見るように
はっきり見える。
あ、だからよく映像化されるんだな。
作品のなかでのもう一つの魅力は
ーーあまり注目されてないかもーー
ときに応じて
空の模様が描かれていること。
ふっと空模様の描写があり
そこから降ってくる光だの
風だのの描写が
作品のなかでまたひとしおの
味を加えている。
達人・藤沢周平の訃報を聞いたとき
涙にくれた読者は
私一人ではあるまいと思う・・・