人生の階段も
そろそろ底に行きつきそう
だから
のこされた人たちの
迷惑にならないよう
持ち物をいろいろ
捨てねばならない。
ずいぶん捨てた。
本、衣類、溜めこんださまざまなもの。
でも、
まだちょっと捨てられないものが
ある。
幼い息子たちと共に暮らしていた
過去の日記。
捨てるつもりでちよっとだけ
読みなおしてみたら
ああ、あの生き生きとしていた日々の
わたしの言葉が
飛び込んできた。
ああ、まだもう少し
もう少しだけ
日記を捨てずにいようか。
こういうのを
執着って言うんだろうな。
でも、日記を捨てるのは
人生を捨てるような気がする。
もう少し。
もうすこしだけ。