日々是憂日

日々是好日ー人生は好い日ばかりがつづいているかな?をちょっと逆転してみると見えてくる日々のことを綴る

母よ

96歳で

逝った母よ

ぎりぎりまで健康だった

けれど

最後は転倒して骨折して

入院してから

明るく開放的なあなたの

性格が

奇妙に歪んで

最後は病院中に

聞こえるような

あーあーと声をあげて

みんなに迷惑がられ

看護婦さんが

しもの世話をするとき

私らに出ていってと言ったのは

床ずれでお尻が

無残になっているのを

見られないためでした

母よ

あなたは明治から平成まで

苦労を重ねて生き抜いて

それでも幼児のように

明るく笑っていました

お茶目なあなたでした

そして人生の最後は

こんなになるんだよと

身を以て教えてくれました

明治43年からの

96年という歳月は

今の私らには

想像を絶するものでありました

そして私らは

あなたほどの

笑いと明るさを

持ってはいないのです

母よ

どうすれば

いいのでしょう

あなたの時代は暗黒だった

はずなのに

そして今はあの時よりずっと

「いい」はずなのに

母よ

私らは

あなたほどの

明るい笑いに

到達することが

できません・・・