日々是憂日

日々是好日ー人生は好い日ばかりがつづいているかな?をちょっと逆転してみると見えてくる日々のことを綴る

妹よ

妹は

幼い時には

戦後の時代でしたから

仕事に出かけた母の

留守の間には

釜でご飯を炊き

風呂を炊き

洗濯ものを干すのに

みかん箱に乗って・・・

私ら姉二人は

その間

汽車通学でしたから

朝から夕方まで

いなかったのです

今、妹は

二つもの難病をかかえ

それでも

「心臓で死ぬかガンで死ぬかどっちかよ」



笑っているのです

「だってみんな死ぬんだよ」



弱った体でピアノ教室を開いています

ちょっとでも私が

暗い声になりかけると

電話の向こうから

叱りとばすのです

ああ

妹よ

妹がわが家の難事を

すべて

引き受けてしまったのでしょうか

今も姉と私は

一応健康で

日々おだやかに暮らし

病院に通うこともなく

いるのに・・・

兄弟姉妹のうち

だれかが

その家の不幸を

引き受けねばならない

のだろうかと

そんな

迷信めいたことさえ

考えてしまう

老婆でした

妹よ

ごめんなさいと

謝まりたい気持ちが

いつもいつも・・・