2018-07-10 しろばんば 読書 井上靖「しろばんば」を読み終えたあとの 正直な感想はと言えば 「喪失感」でしたね。 あの時代。 子供が子供の世界だけで生きてゆくことのできた あの時代への喪失感。 大人は大人であり、子供は子供そのもので ありえた時代。 無茶なと思える子供の世界に存在した 掟、いたわり、いたずら、冒険、すべて 子供の世界に実現されていた時代への 羨望と喪失感・・・ そんな決して美しいだけではない「子供の世界」を 描き尽くした「しろばんば」ーー 今もどこかでそんなふうに 「子供だけに通じる世界」のただなかで 暮らしている子供がこの国に 存在しているでしょうか・・・・