日々是憂日

日々是好日ー人生は好い日ばかりがつづいているかな?をちょっと逆転してみると見えてくる日々のことを綴る

京都ばなし(その3)

そのむかし

寺町蛸薬師あたり

だったかな

かぎやという

お菓子屋さんの

二階から

すぐ下を

見下ろしたら

そこには

八百屋さんが

ありました。

これこそ

あの「檸檬」の

八百屋さんで

梶井基次郎

のめり込んでいた

少女は

貧しくて

ほんとは

そんなこと

してる場合じゃ

ないのに

かぎやの

和菓子を

いただきながら

軒先から溢れる

八百屋さんの灯りを

じっと見つめて

いたのでした。

今はもう

駐車場になっていて

かぎやは移転して

八百屋さんの

店先には

梶井基次郎

檸檬」の店だと

写真も貼って

ありました。

昔は

そんなこともなくて

少女は

黙って八百屋さんの

前を通り過ぎ

それから当然

丸善」に行った

19歳の春でした。