日々是憂日

日々是好日ー人生は好い日ばかりがつづいているかな?をちょっと逆転してみると見えてくる日々のことを綴る

清里は清い里・・・

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老婆はそのむかし


長野県は小海線という

鉄道では日本一

高い所を走るという

列車に乗って

旅をしました。

途中に清里という

駅があって

見渡す限り

高原で

白樺が点々

人家はまったく見えず

かなたに

清泉寮だけが

ぽつんと

見えていた

のでした。

あれから半世紀

清里

見るもおぞましい

駅になりました。

キャンディの箱を

ひっくり返したような

浅薄な建物が

ゴミのように

並んでいて

ほとんど

うすっぺらな廃墟なので

古民家が滅びていくような

「滅びの美」はまったくなくて

ただただ

うっとうしい悲哀ばかり

ウソ寒い

高原の風さえも

清らかな香りを失い

清里

その名に背いて

哀れにも

高原列車の

汚点と

成り果てていたのでした。